【9/30まで】茨城県の特定金属類取扱業者必見! 新条例の解説と対応

2025年9月30日が新条例に基づく許可申請の期限となっており、残り数日となりました。この期限を過ぎると無許可営業として罰則の対象となります。

本記事では、茨城県の新条例の内容から届出手続きまで、事業者が知るべき全てを詳しく解説いたします。

1. 条例制定の背景 - なぜ今、規制強化が必要なのか

金属盗難の深刻化

近年、全国的に電線や銅線、マンホールのふた、エアコン室外機などの金属製品の盗難が急増しています。

警察庁の統計によると、これらの金属盗は単なる窃盗にとどまらず、以下のような深刻な社会問題を引き起こしています:

  • インフラへの被害:電線盗難による広域停電、交通システムの麻痺
  • 公共安全の脅威:マンホールふた盗難による交通事故リスクの増大
  • 経済的損失:修復費用による自治体財政への圧迫

国際的な資源価格高騰の影響

銅やアルミニウムなどの金属資源価格の国際的な高騰により、盗品の換金価値が上昇し、犯罪の動機が強まっています。

従来の古物営業法では、金属スクラップは「古物」に含まれないケースが多く、規制の抜け穴となっていました。

茨城県の取り組み

茨城県は全国に先駆けて金属盗対策を強化し、「茨城県特定金属類取扱業に関する条例」を制定しました。

これは盗品の流通経路を断ち、被害の拡大を防ぐための画期的な取り組みです。

2. 現行「金属くず条例」と新「特定金属類取扱業条例」の重要な違い

規制対象金属の大幅な変更

現行条例(金属くず条例)の対象

  • すべての金属が規制対象(金、銀、白金などの貴金属、レアメタル、レアアース錫(すず)、鉛(なまり)、その他全ての金属類)

新条例(特定金属類取扱業条例)の対象

  • 限定された金属のみが規制対象
  • アルミニウム、鉄、銅およびこれらの合金
  • これらを主成分とした製品(古物を除く)
  • 自動車排出ガス浄化装置(触媒使用の白金、ロジウム、パラジウム)
  • 社会通念上、本来の使用目的で使用できなくなったもの(変形自転車等)

特定金属類とは? - 具体的な規制対象詳細定義

対象となる金属類

  1. 基本金属
    • アルミニウム
    • これらの合金
  2. 製品形態
    • 電線・ケーブル(銅製・アルミ製)
    • グレーチング(格子状の蓋)
    • 敷鉄板
    • マンホールの蓋
    • エアコン室外機(使用不能なもの)
  3. 特殊対象
    • 自動車排出ガス浄化装置(触媒コンバーター)
    • 変形・破損により本来用途で使用不能な自転車

除外条件(許可不要)

1金属の種類による除外条件

  • 古物として取引される場合は対象外
  • 一度使用されたもの、または使用のために取引されたもの
  • 製品の製造・加工・修理に伴う副産物
  • 金、銀、白金(触媒用除く)
  • 錫、鉛
  • レアメタル、レアアース
  • その他の卑金属

これらのみを扱う事業者は新条例では許可不要です。

業態による不要

  • 売却のみを行う営業
    • 無料回収所
    • バザー運営者
    • 製造過程で発生した副産物の売却のみ
  • 溶解・製造業者
    • 電気炉等で溶解し新製品を生産する製鋼業
    • 鋳造業

重要な判断基準

「古物」か「特定金属類」かの判断

  • 古物:そのまま使用可能、または修理により使用可能 → 許可不要
  • 特定金属類:本来の用途での使用不可、スクラップとして処理 → 許可必要

例:

  • 修理可能な自転車 → 古物(許可不要)
  • 完全に変形した自転車 → 特定金属類(許可必要)

3. 新条例移行スケジュール

  • 金属くず商:4月1日~9月30日は「みなし許可」で営業可能(新条例遵守)
  • 金属くず行商:4月1日~9月30日は旧条例で営業可能
  • 共通:9月30日までに新規許可申請必須、10月1日以降は申請なしで営業すると無許可営業

4. 許可業者に課される義務 - 具体的な遵守事項

本人確認義務

取引時の本人確認

  • 特定金属類の買受け時に身分証明書の提示を求める
  • 確実な本人確認の実施
  • 対面・非対面の両方に対応した確認方法

認められる本人確認方法

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • その他公的な身分証明書

記録作成・保存義務

本人確認記録

  • 取引相手の身分証明書等の写しを作成
  • 3年間営業所に備え付け・保存

取引記録 以下の内容を帳簿等に記録し、3年間保存:

  • 取引の年月日
  • 特定金属類の品目および数量
  • 特定金属類の特徴
  • 取引相手の情報
  • 本人確認の方法

標識掲示義務

営業所での標識掲示

  • 規定の様式による標識を掲示
  • 材質:金属等(縦横各60cm以上、白地黒文字)
  • 許可番号等の明記

ウェブサイトでの表示

  • 許可番号等をウェブサイトに表示(要件あり)

その他の義務

行商を行う場合

  • 行商証明書の作成・携帯
  • 耐久性のある材質(プラスチック等)
  • 写真付きカード形式

申告義務

  • 盗品の疑いがある場合の速やかな警察への届出
  • 品触れ受領時の記録および6か月保存

変更・廃止の届出

届出が必要な場合

  • 許可申請内容に変更があった場合
  • 営業を廃止する場合

届出期限 変更または廃止があった日から30日以内

5. 罰則 - 違反した場合のペナルティ

主な罰則内容

30万円以下の罰金または6か月以下の拘禁刑

  • 無許可営業
  • 営業停止命令違反
  • 本人確認義務違反
  • 本人確認記録の作成義務違反
  • 取引記録の作成義務違反
  • 虚偽記載

より重い違反

  • 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

これらの罰則により、条例の実効性を確保し、業界全体のコンプライアンス向上を図っています。

6. 届出がまだの業者様はお早めに

残り時間はわずか

9月30日まで残り数日です。まだ届出を済ませていない事業者は、急いで届出を提出しましょう。

申請に必要な書類

個人事業者の場合

  • 履歴書
  • 住民票の写し
  • 誓約書
  • 市町村長発行の身分証明書
  • 未成年の場合は法定代理人関係書類

法人の場合

  • 定款の写し
  • 登記事項証明書
  • 役員全員の履歴書・住民票の写し・身分証明書
  • 誓約書

申請先

申請場所

  • 営業所所在地を管轄する警察署
  • 営業所がない場合は茨城県内いずれかの警察署
お困りの事業者様はご相談下さい

今すぐ行うべきこと

  1. 対象業者かの確認:扱う金属の種類と業態を再確認
  2. 必要書類の準備:上記書類を速やかに揃える
  3. 管轄警察署への相談:申請手続きについて確認
  4. 申請の実施:期限内の確実な提出

警告:期限後の営業は違法 10月1日以降、許可なく営業を続けると無許可営業として刑事処分の対象となります

この条例についてのお問合せはこちらから

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