スクラップ保管が許可制へ|ヤード規制はいつから準備すべき?条例制定前だからこそ知ってほしい実務の話

条例制定前だからこそ知ってほしい実務の話

条例が施行された直後、埼玉県内では
「届出だから、書類を出せばいいだけでしょう」
「県のホームページを見る限り、そこまで大変そうには見えない」
と感じていた事業者の方も少なくなかったように思います。

しかし、実際に現地を確認し、図面や事業場内の配置を一つひとつ見ていくと、

  • 「この配置では届出が難しい」
  • 「囲いの位置や高さが、もう少し違えば…」
  • 「保管物(スクラップ)の積み上げ高さを見直す必要がある」

といった指摘をせざるを得ないケースも、少なからずありました。


条例制定前から続いてきた事業場だからこそ起きたズレ

特に多く見られたのは、条例による具体的な基準が整備される以前から、事業が継続されてきた事業場です。

これまで規制がなく、合法的かつ自由に使えていた土地について、
後から条例が整備され、「保管方法」「配置」「高さ」などに具体的な基準が設けられました。

その結果、
これまで当たり前に行えていた保管方法やスクラップの積み上げ方が、そのままではできなくなる
という事態が生じています。

事業者の立場からすれば、長年問題なく使用してきた土地や事業場について、
後から制限が課されることは、経営や業務の自由度に直結する非常に大きな変更です。

さらに、保管方法や作業方法を変更するとなれば、

  • 事業場内の動線見直し
  • 作業マニュアルの作成
  • 従業員への周知・教育

なども必要となり、現実的な負担は決して小さくありません。


なぜ「条例ができてから考える」では遅いのか

許可性への動きはこちらの記事へ→「スクラップ保管、許可制へ(Yahoo!ニュース)」

例えば埼玉県では、既存事業者の届出期間は令和7年1月1日からでしたが、
届出書に記載する内容は、令和6年12月31日時点の事業場の状況とされていました。

これは、いわゆる「みなし届出」が認められるのは、
条例施行前から存在していた状態に限られるという整理です。

そのため、条例施行後に

  • 事業場内の配置を変更した
  • 新しい設備や機械を導入した
  • 保管方法や動線を変更した

といった場合には、
みなし届出の前提が崩れ、原則として変更の手続きが必要となります。

結果として、形式上は「届出」であっても、
実務上は変更許可や新規許可に近い対応が求められ、
事前相談や、場合によっては住民説明会が必要になるなど、
手続きのハードルが一気に上がるケースが実際にありました。

「条例施行前なら調整できたのに」
「もう少し早いタイミングで設備を入れればよかった」など
そうした声が現場で聞かれたのも事実です。


規制が入る前だからこそ、選択肢を残せる

だからこそ、
「条例が制定・施行されてから考えよう」ではなく、
規制の動きが見え始めた段階から、事業場の使い方や配置を整理しておくことが、
結果として負担を小さくすることにつながります。

実際、埼玉県での対応経験をきっかけに、現在は

  • 群馬県
  • 栃木県
  • 山梨県
  • 神奈川県
  • 新潟県

など、まだヤード規制の条例が本格施行されていない地域のスクラップ事業者様からも、

  • 「今のうちに何を確認しておくべきか」
  • 「将来の規制を見据えて、どこを直しておくべきか」

といったご相談をいただくようになっています。

条例ができてから慌てて対応するのではなく、
「規制が入る前に、選択肢を残しておく」
この視点が、これからのヤード事業にはますます重要になっていくと感じています。

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