【ヤード業界の最前線】埼玉から福島へ。変わりゆく業界で“今”考えるべきこと


■ ヤード条例とは?どんな事業が対象になるのか

近年、「ヤード条例」という言葉を聞く機会が増えています。
ヤードとは、自動車ヤード、特定再生資源ヤード、資材置き場、ストックヤードなど、
屋外で資材・金属・廃材などを保管する施設の総称です。

自治体によって内容は異なりますが、共通しているのは
周辺環境への配慮、安全確保、適正管理を目的とすること。
条例では、保管面積や高さ、浸透防止対策、囲い・フェンスの設置などを求めています。


■ 制定の背景:なぜヤード条例が増えているのか

近年、金属スクラップや資材置き場の無秩序な増加により、
火災・油流出・景観悪化などのトラブルが全国的に問題視されています。

こうした課題に対応するために各自治体に条例整備を促しており、
実際に千葉県、茨城県、さいたま市、越谷市、埼玉県、、福島県などではすでに条例が施行されています。
群馬県や栃木県でも同様の検討が進んでおり、今後数年で関東一円に広がる可能性があります。


■ 手続きに携わってきて見えた現状と課題

弊所では埼玉県で「特定再生資源屋外保管条例」について既存事業者のみなし届出をサポートしてきました。

また令和7年10月1日より埼玉県川口市で施行された「川口市資材の適正な屋外保管に関する条例」についても検討を行っています。
県や市の職員も初めての運用で、現場は試行錯誤。
そのため、条例に書かれていない「行政指導的な要望」が出ることもありました。

行政側から求められる“行政指導”には、法的な強制力はありません。
行政目的を実現するために、行政機関が任意で協力を求める行為(指導・勧告・助言など)をいいます。
つまり、法律や条例の範囲を超える要求に対しては、冷静に判断することが大切なのです。

行政書士の使命のひとつに、「行政運営の円滑化」があります。
法や条例のルールを踏まえながら、一般企業のビジネスが不必要に制限されないようにサポートするのも、私たちの役割です。

だからこそ、
・条例の内容を正確に理解すること
・何が義務で、何が任意かを区別すること
がとても重要であり、私たち行政書士は、そうした『行政との調整や法令理解の“橋渡し役”』として存在しています。
そして許可が下りた後も、事業者様が許可業者として法令を遵守するため、台帳整備・看板の設置など・アフターフォローまで、一貫してサポートできるのが強みです。


■ 「みなし届出」を軽視すると大きな損失に

条例制定前から事業を行っている場合に提出する「みなし届出」。
これを安易に作成してしまうと、後から大きな不便を招くことがあります。

たとえば、

  • 保管面積を小さく届出たため、増設に再届出が必要になった
  • 高さ制限を誤って記載し、実際の運用が制限された

といったケースが考えられます。

現地測量や配置図作成を正確に行い、実際の運用を見据えた届出内容を作成することが重要です。

なぜなら、届出時に記載する保管場所の面積や高さは、保管能力そのものに直結するためです。
十分に検討せずに届出ると、「もっと効率的に運営できたのに」と後悔するケースも少なくありません。

実際、現地での測量や配置確認、行政との打ち合わせなど、届出までには多くの時間と手間がかかります。
まだ時間があるからいいやと後回しにするにではなく、早めに準備しておくことが何より重要です。


■ 届出が必要なケース・不要なケース(よくある質問)

Q:屋根付きの倉庫内なら届出は不要ですか?
→ 屋内で保管している場合は対象外となることが多いですが、
 屋根があっても“側面が開放されている”場合は「屋外」と判断されるケースがあります。

Q:一時的な保管でも届出は必要?
→ 「継続的に資材・再生資源を保管する」場合は対象になる可能性が高いです。


■ 行政書士によるサポート

行政書士は、法令や条例に基づく届出を円滑に進める専門家です。
特にヤード条例関係では、次のような支援を行っています。

  • 条例該当性の確認(対象・除外の判断)
  • 届出書類、図面、台帳の作成
  • 行政との事前協議・現地確認対応
  • 届出後の変更届や更新サポート

行政書士に依頼することで、行政との調整負担を減らし、効率的に事業を進めることが可能です。


■ 福島県「特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」そして群馬県・栃木県でも広がる動き

福島県では「特定再生資源屋外保管条例」がすでに施行されており、条例制定以前から事業を行っていた事業者がみなし許可を受けるための届出期限は令和7年12月31日です。
群馬県や栃木県でも同様の金属やプラスチックのような特定再生資源の屋外保管について、条例制定に向けた動き水面下では進んでおり、今後同様のルールが整備される可能性があります。


■ 既存業者の届出は単なる書類作成ではない。事業計画そのもの。

「届出」は書類作成ではなく“経営判断”つまり、届出は単なる“行政手続き”ではなく、事業計画そのものに関わる判断なのです。

ヤード条例は、地域の安全と環境を守るために重要な制度です。
しかし、事業者にとっては設備投資・届出手続きなど大きな負担になることもあります。

「うちは対象になるのか?」「届出はどうすればいいのか?」
そんな疑問が出たときは、専門の行政書士にご相談ください。

私は埼玉県を中心に、川口市・熊谷市・行田市・深谷市・寄居町などで
ヤード条例や屋外保管届出の支援を行っています。
現場に寄り添いながら、最適な届出・整備のサポートをいたします。

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