CCUS登録後は何をする?現場登録・施工体制登録・就業履歴までわかりやすく解説
CCUS(建設キャリアアップシステム)の事業者登録や技能者登録をしたものの、
「登録した後は何をすればいいの?」
「技能者のカードは届いたけれど、まだ現場では使っていない」
「現場登録や施工体制登録がよく分からない」
という事業者様も多いのではないでしょうか。
CCUSの現場運用は、事業者登録・技能者登録をして終わりではありません。
実際の現場でCCUSを活用するためには、元請事業者による「現場・契約情報」の登録、元請・下請事業者による「施工体制登録」、現場に入る技能者の登録、そして就業履歴の蓄積へと進んでいきます。
特に、経営事項審査を受けている事業者や、公共工事を受注している・これから受注したい事業者にとって、CCUSを現場でどのように運用するのかは確認しておきたいポイントです。
今回は、CCUS登録後の現場運用について、現場・契約情報の登録から施工体制登録、技能者登録、就業履歴の蓄積まで、順番にわかりやすく解説します。
CCUSの事業者登録・技能者登録についてはこちらの記事で解説しています。
CCUSは「登録したら終わり」ではありません
CCUSを利用するための最初のステップが、「事業者登録」と「技能者登録」です。
技能者登録が完了すると、技能者本人に建設キャリアアップカードが交付されます。
しかし、カードを持っているだけでは、現場で働いた記録が自動的に蓄積されるわけではありません。
実際の現場でCCUSを運用するためには、まず元請事業者がCCUSに現場・契約情報を登録し、その現場について施工体制を登録します。
さらに、現場に入る技能者を施工体制に登録し、実際の就業履歴を蓄積していきます。
基本的な流れは次のとおりです。
事業者登録・技能者登録
↓
現場・契約情報の登録
↓
施工体制登録
↓
現場に入る技能者の登録
↓
就業履歴を蓄積できる環境を整える
↓
就業履歴の蓄積
CCUSへの登録は、現場で活用するためのスタート地点と考えると分かりやすいでしょう。
STEP1|元請事業者が「現場・契約情報」を登録する
最初に行うのが、元請事業者による「現場・契約情報」の登録です。
CCUSでは、元請事業者が現場を開設する際に、現場名や工事内容などの現場・契約情報をシステムへ登録します。
簡単にいえば、これからCCUSを利用する工事現場を、まずシステム上に登録する作業です。
この現場情報をもとに、その後の施工体制登録や就業履歴の蓄積を行っていきます。
そのため、自社が元請としてCCUSを運用する場合、
「事業者登録はしているけれど、一度も現場・契約情報を登録したことがない」
という状態であれば、まずここから確認してみましょう。
(※また、小さな現場が複数あり、1つの契約となっている場合や、1つの契約だけど毎日違う場所で行う場合など、登録方法こコツさえつかめば、管理が楽になることもあります。この方法は機会があれば追って別の記事にしますが、今回の投稿では一般的な登録や管理の方法をご紹介します。)
STEP2|「施工体制登録」を行う
現場・契約情報を登録したら、次に施工体制をCCUSへ登録します。
建設工事では、
元請
↓
一次下請
↓
二次下請
↓
三次下請……
というように、複数の事業者が施工体制を構成することがあります。
CCUSでも、この施工体制をシステム上に登録していきます。
元請事業者が施工体制を登録し、下請事業者は元請事業者が登録した現場・契約情報に対して、自社の施工体制を登録していきます。
実際の工事における元請・下請の関係を、CCUS上でも施工体制として登録していくイメージです。
STEP3|現場に入る技能者を施工体制に登録する
施工体制に事業者を登録したら、次はその現場で実際に働く技能者を登録します。
下請事業者は、自社から現場に入る技能者について、
・氏名
・職種
・立場(職長等)
・作業内容
などの情報を登録した作業員名簿を施工体制に登録します。
ここは、CCUSを適切に運用するうえで重要な部分です。
単に「誰が現場に入るのか」だけでなく、その技能者がどの職種・立場で現場に入るのかについても、実際の現場に合わせて登録していきます。
たとえば、技能者が実際には職長として現場に入っている場合には、その立場についても適切に登録しておくことが重要です。
また、自社の技能者を施工体制に登録するためには、技能者と所属事業者との関連付けも確認しておく必要があります。
「技能者登録は終わっているから大丈夫」と考えず、自社の技能者が適切に所属事業者へ関連付けられているかも必ず確認しておきましょう。
不完全な履歴となっている原因は
1、自社の技能者が適切に所属事業者へ関連付けが行われていないこと。
2、施工体制登録が適切に行われていないこと。
3、現場に入る技能者が登録されていないこと。 ほとんどがです。
STEP4|就業履歴を蓄積できる環境を準備する
施工体制や技能者の登録とあわせて、現場で技能者の就業履歴を蓄積できる環境を準備します。
建設業振興基金が提供している就業履歴登録アプリ「建レコ」では、次の方法で建設キャリアアップカードを読み取り、就業履歴を蓄積することができます。
・建レコ+ICカードリーダーを利用して、建設キャリアアップカードをタッチする方法
・建レコをインストールしたiPhoneを利用して、iPhoneで建設キャリアアップカードを直接読み取る方法
iPhoneを利用する方法では、対応するiPhoneに建レコをインストールすることで、別途ICカードリーダーを用意しなくても、iPhone自体をカードリーダーとして使用することができます。
現場の規模や運用方法に合わせて、使いやすい方法を選択するとよいでしょう。
なお、CCUSではこのほかにも、CCUSと連携した認定システムを利用する方法や、一定の場合に就業履歴をシステムへ直接入力する方法も用意されています。
大切なのは、CCUSに登録して終わりにするのではなく、実際の現場で継続して就業履歴を蓄積できる環境を整えることです。
STEP5|実際に就業履歴を蓄積する
準備が整ったら、実際の現場で就業履歴を蓄積していきます。
建レコとカードリーダーを利用する場合は、技能者が建設キャリアアップカードをカードリーダーにタッチします。
iPhoneを利用する場合は、建レコを起動したiPhoneで建設キャリアアップカードを読み取ります。
こうして技能者が現場で働いた履歴をCCUSに蓄積していきます。
また、施工体制に技能者の職種や立場、作業内容などが適切に登録されていれば、実際の施工体制と技能者の就業履歴を結び付けて記録していくことができます。
ここまで進んで、
「CCUSに登録している」から「CCUSを現場で活用している」という段階に進みます。
CCUSを導入したものの、事業者登録や技能者へのカード交付で止まっている場合には、現場・契約情報の登録や施工体制登録を含め、現在の運用状況を一度確認してみましょう。
経審を受ける事業者はCCUSの「現場運用」も確認を
経営事項審査を受けている事業者にとっても、CCUSは関係の深い制度になっています。
経営事項審査では、CCUSの導入を踏まえた評価項目が設けられており、その一つが「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」です。
ここで注意したいのは、
「CCUSの事業者登録をしている」だけで、この項目が評価されるわけではないということです。
対象となる元請工事について、CCUS上で現場・契約情報を登録し、技能者が就業履歴を蓄積できる環境を整備するなど、経営事項審査上の要件を満たす必要があります。
また、2026年7月1日以降に申請する経営事項審査では、CCUSに関係する評価制度についても改正が行われています。
経審を受けている事業者の場合は、
「CCUSには登録しているから大丈夫」
ではなく、実際にどの元請工事で、どのようにCCUSを運用しているのかまで確認しておきましょう。
※経営事項審査の具体的な加点要件については、審査基準日や申請時期等によって確認が必要です。実際に申請する際は、最新の経営事項審査の手引き等をご確認ください。
出典:国土交通省「経営事項審査での加点措置」
公共工事でもCCUSの活用が進んでいます
CCUSは、経営事項審査だけでなく公共工事でも活用が進められています。
国土交通省直轄工事をはじめ、地方公共団体等でも、CCUSを活用するモデル工事や総合評価方式における加点措置などが行われています。
公共工事を受注している事業者や、今後公共工事への参入を考えている事業者にとっても、CCUSを「登録する」だけでなく、実際の現場で運用できる体制を整えておくことが重要になってきています。
ただし、CCUSモデル工事や総合評価における評価方法・要件は、発注者や工事によって異なります。
「CCUS登録事業者だから要件を満たしている」と判断せず、実際の入札では公告や入札説明書、実施要領等を確認してください。
「登録したけれど使っていない」事業者はここを確認
CCUSの登録はしたものの、現場での運用はこれからという事業者は、まず次の点を確認してみましょう。
□ 自社の技能者と事業者の関連付けはできていますか?
□ 元請工事の現場・契約情報をCCUSに登録していますか?
□ 実際の元請・下請関係に合わせて施工体制登録をしていますか?
□ 現場に入る技能者を施工体制に登録していますか?
□ 技能者の職種・立場・作業内容等は適切に登録されていますか?
□ 現場で就業履歴を蓄積できる環境を整えていますか?
□ 実際に技能者の就業履歴が蓄積されているか確認していますか?
一つずつ確認してみると、
「事業者登録と技能者登録だけで止まっていた」
「現場登録はしているけれど、その後の運用をしていなかった」
「カードは持っているけれど、実際には就業履歴を蓄積していなかった」
といった課題が見つかることがあります。
CCUSを導入したのであれば、登録だけで終わらせず、実際の現場での運用までつなげていきましょう。
FAQ ~よくある質問~
Q.CCUSに事業者登録していれば、経審で加点されますか?
CCUSに事業者登録しているだけで、「就業履歴を蓄積するために必要な措置」の評価を受けられるわけではありません。
対象となる元請工事について現場・契約情報を登録し、技能者が就業履歴を蓄積できる環境を整備するなど、経営事項審査上の要件を満たす必要があります。
経審申請時には、審査基準日や対象工事なども含め、最新の要件を確認してください。
Q.自社が下請の場合もCCUSで現場・契約情報を登録しますか?
基本となる現場・契約情報は元請事業者が登録します。
下請事業者は、元請事業者が登録した現場について施工体制への登録を行い、自社から現場に入る技能者の情報を登録していく流れになります。
Q.施工体制登録とは何ですか?
実際の工事における元請・一次下請・二次下請などの施工体制を、CCUS上に登録するものです。
実際の施工体制に合わせて、各事業者や現場で働く技能者を登録していきます。
Q.技能者登録をしてカードを持っていれば、現場でタッチするだけでいいですか?
技能者登録とカードの交付だけでは、CCUSの現場運用の準備がすべて完了しているとはいえません。
現場・契約情報の登録や施工体制登録、現場に入る技能者の登録などを行ったうえで、就業履歴を蓄積していきます。
Q.専用のカードリーダーがないとCCUSの就業履歴は残せませんか?
専用のICカードリーダーがなくても、対応するiPhoneをカードリーダーとして利用する方法があります。
建レコiOS版では、iPhoneのNFC機能を利用して建設キャリアアップカードを直接読み取り、就業履歴を登録することができます。
そのため、現場でCCUSの運用を始める際には、専用カードリーダーを用意する方法だけでなく、iPhoneを活用する方法も選択肢になります。
Q.カードをタッチし忘れた場合はどうなりますか?
CCUSには、就業履歴を直接入力する仕組みも用意されています。
ただし、直接入力した就業履歴については承認等が必要となる場合があります。
タッチ忘れが常態化しないよう、日常的に就業履歴を蓄積できる運用体制を整えておくことが大切です。
Q.CCUSの就業履歴は能力評価にも関係しますか?
はい。
前回の記事で解説したとおり、2024年4月1日以降の経験については、CCUSに蓄積された就業履歴等が能力評価でも重要になります。
ただし、CCUSは能力評価のためだけに運用するものではありません。
技能者の資格や就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積し、技能や経験を客観的に把握できる環境を整えていくことがCCUSの目的の一つです。
【内部リンク:第3回「CCUSの経歴証明とは?必ず確認したい『2つの期限』」】
まとめ|CCUSは「登録」から「現場での活用」へ
CCUSの事業者登録・技能者登録が終わったら、次のステップは実際の現場での運用です。
基本的な流れは、
① 元請事業者が現場・契約情報を登録する
② 元請・下請事業者が施工体制を登録する
③ 現場に入る技能者を施工体制に登録する
④ 就業履歴を蓄積できる環境を整える
⑤ 実際に就業履歴を蓄積する となります。
特に、経営事項審査を受けている事業者や公共工事を受注する事業者は、CCUSの登録状況だけではなく、現場で実際にどのように運用しているのかまで確認しておきたいところです。
CCUSに登録したものの、
「その後、一度も現場・契約情報を登録していない」
「施工体制登録のやり方が分からない」
「カードは配ったけれど、現場で就業履歴を蓄積できていない」
という場合には、一度、自社のCCUS運用状況を整理してみましょう。
ほりぐち行政書士事務所では、CCUS登録行政書士として、事業者登録・技能者登録だけでなく、登録後のCCUS活用についてもご相談を承っています。
参考資料
・国土交通省「【CCUSポータル】 公共工事におけるインセンティブ」
・建設キャリアアップシステム公式サイト
建設キャリアアップシステムについて

