【既存事業者向け】群馬県ヤード条例|保管の高さ・50%勾配・囲いなど既存ヤードの基準
前回の記事では、群馬県の再生資源物屋外保管業について、みなし許可の届出に必要となる書類と、届出後の手続の流れを整理しました。
みなし許可の届出では、届出書や図面だけでなく、現在の事業場が条例等で定められた基準に適合しているかを確認する「適合状況チェックシート」も提出します。
このチェックシートを作成するためには、書類上の確認だけではなく、実際のヤードを確認する必要があります。
特に確認しておきたいのが、
・スクラップ等の保管の高さ
・50%勾配
・囲いと保管物の位置関係
・底面の舗装
・油水分離装置や排水溝
・雑品スクラップの火災対策 などです。
本記事では、群馬県が公表している条例、施行規則、構造及び維持管理等に関する基準、Q&A集などをもとに、既存事業者が現在のヤードについて確認しておきたい主な基準を整理します。
保管の高さの基準と50%勾配
群馬県ヤード条例では、容器を用いずに再生資源物を保管する場合、保管物の高さについて基準が定められています。
保管できる高さは一律ではなく、囲いの有無や、保管物の荷重が囲いに直接かかるかどうかなどによって異なります。
施行規則第9条では、大きく分けて、
(ア)囲いがない場合、または囲いに保管物の荷重が直接かからない場合
(イ) 囲いに保管物の荷重が直接かかる場合
(ウ)三方の囲いに保管物の荷重が直接かかる場合
について、それぞれ保管の高さの考え方が定められています。
上限として「5m」という数字が出てきますが、現在積み上げているスクラップが5mを超えているかどうかだけで判断するものではありません。
保管場所の形状や囲いとの位置関係を含めて確認する必要があります。
50%勾配による保管の高さの考え方
囲いがない場合や、囲いに保管物の荷重が直接かからない場合には、「50%勾配」が保管の高さを確認する際の基準になります。
群馬県のQ&Aでも、50%勾配についての考え方が示されています。
50%勾配は、水平距離と垂直距離の関係で考えます。
そのため、単に保管物の一番高いところだけを測るのではなく、保管場所の境界や囲いとの距離を確認しながら、保管できる高さを確認します。
また、群馬県のQ&Aでは、圧縮処理した金属についても、安全上の観点から50%勾配を適用するとされています。
【囲いに荷重がかからない場合の「50%勾配」と保管の高さの考え方】

文章だけでは分かりにくい部分ですが、実際の事業場では、保管場所の境界、囲いの位置、保管物を積み上げる位置などを確認しながら判断することになります。
囲いに保管物の荷重がかかる場合
スクラップ等を囲いに接して保管し、保管物の荷重が囲いに直接かかる場合には、先ほどの50%勾配とは異なる基準が適用されます。
施行規則第9条では、「直接負荷部分」の上端から50cm下方に設定する「基準線」を用いた保管の高さの基準が定められています。
また、保管場所の三方にある囲いに保管物の荷重が直接かかる場合についても、別に基準が定められています。
【囲いに保管物の荷重が直接かかる場合の基準線と保管の高さ】

【三方の囲いに保管物の荷重が直接かかる場合の保管の高さ】

この部分は、事業場によって囲いの高さや保管場所の形状が異なるため、実際の寸法を確認したうえで判断する必要があります。
「最大5m」という数字だけではなく、現在どの位置に、どのような囲いを設置し、その囲いに対してどのように保管物を積んでいるのかまで確認しておきたいところです。
保管物の荷重を受ける囲いの強度
囲いに保管物の荷重が直接かかる場合には、保管の高さだけでなく、囲い自体がその荷重に対して構造耐力上安全であることも求められます。
群馬県のQ&Aでは、具体的な規格までは定められていないものの、再生資源物の荷重によって囲いが変形・破損等しない強度が必要とされています。
保管物を囲いに接して積み上げている場合には、
・その囲いに荷重がかかっているか
・荷重がかかる構造になっているか
・囲いがその荷重に耐えられるものか
・届出図面上の保管場所と実際の積み方が一致しているか
なども確認します。
囲いが設置されているということだけでなく、実際にどのような状態で使用しているかを見る必要があります。
事業場の囲いに関する基準
群馬県の「再生資源物屋外保管事業場の構造及び維持管理等に関する基準」では、事業場の周囲に設置する囲いについても基準が定められています。
原則として、
・高さ2m以上
・波型の亜鉛メッキ鋼板またはこれと同等以上の耐久性を有するもの
・出入口の門扉は高さ2m以上で施錠できるもの
などの要件があります。
一方で、既存事業者については現在設置されている囲いの状況もさまざまです。
群馬県が公開している適合状況チェックシートの記載例でも、既存の門扉が2mに満たないケースについて、防犯カメラや有刺鉄線等によって人の立入りを防止する例が示されています。
既存ヤードの場合は、新規許可の基準だけを見るのではなく、現在の設備の状況と、既存事業者に対する経過措置をあわせて確認することが重要です。
保管の高さの上限表示と保管場所の区画
容器を用いずに再生資源物を保管する場合、保管の高さを確認して届出書や図面に記載するだけではありません。
群馬県の「再生資源物屋外保管事業場の構造及び維持管理等に関する基準」では、保管の高さの上限を事業場にも表示することとされています。
保管場所に囲いがある場合は、囲いの内側に明瞭な線で保管の高さの上限を表示します。
保管場所に囲いがない場合は、保管の高さの上限の数値を記載した標識を掲示します。
また、床面には原則として幅30mm以上の視認性の高い実線で保管場所を明確に区切ることとされています。ただし、保管場所の囲いがある部分については、この床面の線引きは必要ありません。
つまり、保管の高さや保管場所については、届出書や図面上で確認するだけではなく、実際の事業場にも上限や保管の範囲が分かるように表示する必要があります。
ヤードの地面は全部コンクリートにする必要がある?
事業者様からすると、
「ヤード全体をコンクリートにしなければならないのか?」
という点も気になるところだと思います。
群馬県のQ&Aでは、事業場全体を不浸透性の材料で覆う必要はないことが示されています。
底面について対策が必要となるのは、屋外保管等に伴って生じた汚水や油が流出したり、地下に浸透したりするおそれがある場合です。
群馬県は、不浸透性の材料について具体的な材料を指定していませんが、基本的にはコンクリートやアスファルトによる舗装を求めています。
ただし、アスファルトであれば何でもよいわけではありません。
アスファルトには透水性を有するものもあるため、使用する舗装が不浸透性であることを明らかにする必要があります。
また、群馬県のQ&Aでは、不浸透性だけでなく「強度」についても言及されています。
ヤードでは、トラックや重機など重量のある車両・機械が出入りするほか、スクラップ等の積込みや荷下ろしが日常的に行われます。
実際に基準へ適合させるための舗装を検討する際には、単にコンクリートやアスファルトを施工すればよいと考えるのではなく、トラックや重機の重量に耐えられるか、スクラップ等を荷下ろしする際の衝撃によって舗装にひび割れや破損が生じないかといった、実際の作業状況も考慮する必要があります。
せっかく不浸透性の舗装を施工しても、通常の作業によってひび割れや破損が生じれば、その状態を維持できなくなる可能性があります。
また、既存のヤードでは、コンクリートやアスファルトによる舗装だけでなく、地面に鉄板を敷いて使用しているケースもあります。
この場合も、「鉄板が敷いてある」ということだけで判断するのではなく、現在の施工方法で条例が求める不浸透性や強度を確保できているかを確認しておくことが大切です。
たとえば、鉄板同士の継ぎ目や端部、固定方法、実際の使用によるずれや変形など、施工状況によって状態は異なります。
現在のヤードで鉄板を敷き、杭等で固定して使用している場合も、今の状態で基準を満たすことができるのか、届出準備の段階で確認しておきたいところです。
舗装や底面については、材質だけで判断するのではなく、その事業場で取り扱う再生資源物、使用する車両や重機、荷下ろしの方法なども踏まえて検討する必要があります。
確認したいのは、主に次のような点です。
・どの場所で何を保管しているのか
・汚水や油が発生するおそれがあるのか
・現在の底面は不浸透性といえる状態か
・トラックや重機等の使用状況に対して必要な強度が確保されているか
・通常の荷下ろし等によって舗装や底面が破損するおそれがないか
スクラップに触れた雨水の取扱い
排水関係では、雨水の扱いも確認しておきたいところです。
群馬県のQ&Aでは、油や汚れが付着している可能性のある再生資源物に触れた雨水は「汚水」となるという考え方が示されています。
また、再生資源物の保管等によって新たに発生した水についても汚水となります。
そのため、単に「雨水だから問題ない」とするのではなく、保管している再生資源物に触れた水がどこへ流れるのかまで確認する必要があります。
底面・排水溝・油水分離装置の関係
汚水や油が流出したり、地下に浸透したりするおそれがある場合には、
・不浸透性の底面
・油水分離装置
・油水分離装置に接続する排水溝
について確認が必要になります。
群馬県のQ&Aでも、不浸透性の底面と油水分離装置・排水溝について、いずれか一方だけを設ければよいものではないことが示されています。
適合状況チェックシートの記載例では、雑品スクラップや油が付着した金属スクラップの保管場所について、コンクリート舗装や排水溝等の工事を予定している例も掲載されています。
既存のヤードでは、現在の地面の状態だけでなく、雨水や汚水がどの方向へ流れるのか、排水溝や油水分離装置までどのようにつながっているのかについても現地で確認しておきたいところです。
【保管場所→排水溝→油水分離装置の確認イメージ】

雑品スクラップの火災・延焼防止対策
雑品スクラップについては、火災や延焼を防止するための基準も定められています。
群馬県の施行規則では、雑品スクラップに電池、潤滑油その他の火災・延焼のおそれがあるものが含まれる場合には、技術的に可能な範囲で適正に回収・処理することとされています。
また、雑品スクラップの保管場所については、
・1区画あたり200㎡以下
・隣接する保管場所は原則として2m以上の間隔を確保
することとされています。
ただし、隣接する保管場所に延焼防止のための仕切りが設けられている場合には、2m以上の間隔について例外があります。
群馬県のQ&Aでは、一般的なフェンスについては延焼防止の仕切りとは認められないとの考え方も示されています。
現在のヤードで雑品スクラップを複数の区画に分けて保管している場合には、区画面積だけでなく、隣接する保管場所との距離や仕切りの状況も確認します。
【雑品スクラップ 火災・延焼防止対策措置】

現在基準に適合していないと、みなし許可の届出はできない?
ここは、既存事業者の方にとって特に気になるところだと思います。
みなし許可の届出時点で、現在の事業場がすべての基準に適合していなければ届出ができない、というわけではありません。
群馬県の適合状況チェックシートには、
「適合」または「不適合」
を記載し、不適合の場合には適合が完了する時期を記載する欄があります。
実際に群馬県が公開している記載例でも、
・保管の高さについて、令和9年3月までに計画的に売却して適合させる
・コンクリート舗装工事を令和9年1月に実施する
・排水溝等の工事を令和9年2月に実施する
といった記載例が示されています。
ただし、基準によって経過措置の期間が異なるため、その点には注意が必要です。

既存事業者に適用される経過措置
群馬県ヤード条例では、既存事業者に対して経過措置が設けられています。
条例施行時に現に使用している事業場については、一定の規定が施行日から6か月間適用されません。
さらに、期間内にみなし許可の届出をした既存事業者については、囲い、底面、油水分離装置など条例第8条第2号に関係する構造基準と、事業場をその構造基準に適合するよう維持する義務について、施行日から1年間の経過措置があります。
一方、保管の高さは条例第10条第2号に定められており、届出をした既存事業者について設けられている「1年間」の経過措置の対象には含まれていません。
群馬県の適合状況チェックシートの記載例でも、保管の高さが基準に適合していないケースについて、
令和9年3月までに計画的に売却して適合させる という例が示されています。
このため、みなし許可の届出をした既存事業者であっても、すべての基準について一律に1年間の猶予があるわけではありません。
どの項目が現在の基準に適合していないのか、その項目についてどの経過措置が適用されるのかを分けて確認する必要があります。
適合状況チェックシートは現場を確認しながら作成する
ここまで見てきたように、適合状況チェックシートは単純に「適合・不適合」にチェックを入れるだけの書類ではありません。
たとえば保管の高さであれば、
・保管場所はどこか
・囲いはどこにあるか
・囲いに荷重がかかるのか
・実際に何m積んでいるのか
・50%勾配の基準に適合しているか
・高さの上限が現場に表示されているか
などを確認します。
底面や排水についても、
・何を保管しているか
・油や汚れが付着している可能性があるか
・雨水がどこへ流れるか
・底面はどのような状態か
・排水溝はどこにあるか
・油水分離装置までどのようにつながっているか
など、現場を見なければ判断できない項目があります。
図面・チェックシート・実際のヤードを一致させる
前回の記事でも触れましたが、みなし許可の届出後には、県と市町村による合同の現地調査が予定されています。
群馬県は、届出書の内容が現地と合致していない場合には、届出書の補正を求めるとしています。
そのため、
届出図面では保管場所A
↓
適合状況チェックシートでも保管場所Aについて記載
↓
実際の現場も同じ配置・保管方法
というように、書類と現場を一致させておくことが重要です。
届出書を作成してから現場を見るのではなく、現在のヤードを確認し、その状況を図面やチェックシートへ反映させるという順番で準備することが大切だと考えています。
先行地域での条例対応経験を群馬県の届出対応にも
私はこれまで、同様のヤード規制が先行して施行された地域で、複数の特定再生資源事業者様の条例対応をサポートしてきました。
実際の条例対応では、条文やチェックシートだけを見ても判断しにくい部分があります。
特に、
・囲いと保管物の位置関係
・実際の保管の高さ
・図面上の寸法と現場の整合性
・底面や排水設備の状況
・現在の保管方法をどのように図面へ反映するか
といった部分は、現場を確認しながら整理する必要があります。
群馬県のみなし許可についても、届出書だけを作成するのではなく、届出後の現地調査まで見据えて準備することが重要です。
群馬県ヤード条例・みなし許可届出サポート
ほりぐち行政書士事務所では、群馬県ヤード条例の施行に伴う既存事業者様のみなし許可届出をサポートしています。
対応内容
・必要書類の確認
・届出書、添付書類の作成
・事業計画の整理
・図面、レイアウトの確認
・適合状況チェックシートの確認・作成
・標準作業書の作成
・基準と現在の事業場の状況確認
・届出後の現地調査を見据えた事前確認
届出期間は令和8年10月1日~令和9年3月31日です。
既存事業者の場合、現在の事業場の状況確認や図面作成、基準への適合状況の確認に時間がかかる場合があります。
期限直前ではなく、余裕を持った準備をおすすめします。
まず相談したい事業者様へ
オンライン相談(現地訪問なし):30分無料
「現在の保管の高さが基準に合っているかわからない」
「囲い・底面・排水設備について確認したい」
「現在敷いている鉄板や舗装で問題がないか確認したい」
「必要書類や図面をまとめて依頼したい」
「現地調査まで見据えて準備したい」
といった事業者様からのご相談にも対応しています。
次回は「標準作業書」について
次回は、みなし許可の届出に必要となる「標準作業書」を取り上げます。
標準作業書には、事業場の維持管理、油水分離装置や排水溝の管理、火災防止、汚水・油の流出防止、騒音・振動対策、害虫対策、廃棄物の処理など、実際の事業場の運用に関する事項を記載します。
群馬県が公開している様式や記載例をもとに、現在のヤードの運用をどのように標準作業書へ反映していくのかを整理します。
参考資料|群馬県公式
本記事は、群馬県が公表している以下の資料をもとに作成しています。
・群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例
・群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例施行規則
・群馬県再生資源物屋外保管事業場の構造及び維持管理等に関する基準
・適合状況チェックシート及び記載例
・群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例 Q&A集
各資料は、群馬県「群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例」公式ページから確認できます。
※本記事は令和8年9月現在の群馬県公表資料をもとに作成しています。今後、群馬県から新たな運用等が公表された場合には内容を更新することがあります。

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