【令和8年6月施行】特定金属くず買受業とは?届出義務と特定金属類取扱業との違いを解説

令和8年6月1日から、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」に基づく「特定金属くず買受業」の制度がスタートしました。

近年、太陽光発電施設や工事現場などから銅線ケーブル等が盗まれる被害が全国的に増加しており、その流通経路を遮断するために創設された制度です。

スクラップヤード事業者や金属スクラップ事業者の中には、

  • 自社が届出対象になるのか分からない
  • 既に他の届出や許可を受けているが追加の手続が必要なのか分からない
  • 本人確認や記録保存はどこまで求められるのか知りたい

という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、特定金属くず買受業の概要や届出義務、事業者に求められる対応について、法令や警察庁公表資料をもとに解説します。


特定金属くず買受業とは

特定金属くず買受業とは、特定金属くずの買受けを行う営業をいいます。

令和8年6月現在、特定金属くずとして指定されているのは「銅」です。

警察庁の説明資料では、現在の特定金属くずは銅のみとされています。

そのため、銅線スクラップや被覆線、雑線、ピカ線などの銅を主として含む金属くずを買い受ける事業者は、この制度の対象となる可能性があります。

営業を開始する場合には、営業所所在地を管轄する警察署長を経由して、都道府県公安委員会へ届出を行う必要があります。


どのような事業者が届出対象になるのか

スクラップヤード事業者の方が最も気になるのは、「自社が対象なのか」という点ではないでしょうか。

例えば、次のような事業者は届出対象となる可能性があります。

  • 銅線スクラップを買い受けている事業者
  • 雑線や被覆線を買い受けている事業者
  • 解体工事等で発生した銅スクラップを買い受けている事業者
  • 非鉄金属スクラップの買取事業者
  • スクラップヤード事業者

一方で、実際に届出が必要となるかどうかは、取扱品目や営業形態によって異なります。

特に、

  • 「買取ではなく保管のみ」
  • 「グループ会社間の移動が中心」
  • 「仲介のみ行っている」

などの場合は、個別の確認が必要となるケースも考えられます。

制度の対象となるか判断に迷う場合は、事前に確認しておくことをおすすめします。

スクラップヤード事業者は要注意

スクラップヤード事業者の中には、

  • ピカ線
  • 雑線
  • 被覆線
  • 銅スクラップ
  • 非鉄スクラップ

などを日常的に取り扱っている事業者も多いと思います。

これらの取扱いがある場合は、特定金属くず買受業の届出対象となる可能性が高いため、一度営業内容を確認しておくことが重要です。


特定金属くず買受業者に課される主な義務

営業開始前の届出

特定金属くず買受業を営む場合は、営業開始前までに届出が必要です。

届出事項には、

  • 氏名又は名称
  • 営業所所在地
  • 保管場所所在地
  • 連絡先

などが含まれます。

また、営業所や保管場所の平面図等の添付書類も必要とされています。

本人確認

特定金属くずを買い受ける際には、相手方の本人確認を行わなければなりません。

個人の場合は、

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 在留カード

などの顔写真付き本人確認書類による確認が原則となります。

法人の場合は、実際に取引を行う担当者の本人確認に加え、法人の確認も必要となります。

本人確認記録の作成・保存

本人確認を行った場合は、本人確認記録を作成しなければなりません。

作成した記録は、文書又は電磁的記録により保存することができます。

保存期間は3年間です。

取引記録の作成・保存

特定金属くずを買い受けた場合は、取引記録の作成も必要です。

主な記録事項は、

  • 相手方の氏名又は名称
  • 買受日時
  • 買い受けた量
  • 買取金額
  • 支払方法

などです。

こちらも保存期間は3年間とされています。

盗品の疑いがある場合の申告

買い受けようとする特定金属くずについて、盗品に由来する疑いがあると認めた場合には、警察官へ申告しなければなりません。


特定金属類取扱業との違いと二重規制に注意

特定金属くず買受業は、国の法律である「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」に基づく制度です。

一方で、特定金属類取扱業や金属くず商に関する規制は、都道府県ごとの条例によって定められている場合があります。

つまり、

  • 特定金属くず買受業=国の制度
  • 特定金属類取扱業等=都道府県条例による制度

という違いがあります。

そのため、既に都道府県条例に基づく届出や許可を受けている場合であっても、特定金属くず買受業の届出が不要になるとは限りません。

逆に、特定金属くず買受業の届出を行ったからといって、条例上の届出や許可が不要になるわけでもありません。

事業所の所在地や営業内容によっては、国の制度と都道府県条例の双方への対応が必要となる場合があります。

いわゆる「二重規制」となる可能性もあるため、自社がどの制度の対象となるのか確認しておくことが重要です。


よくある質問

Q. 特定金属くず買受業の届出はいつまでに必要ですか?

新たに特定金属くず買受業を始める場合は、営業開始前までに届出が必要です。

また、令和8年6月1日時点で既に特定金属くず買受業を営んでいた事業者については経過措置が設けられており、令和8年8月31日までに届出を行うことで営業を継続することができます。

Q. ピカ線や雑線の買取を行っています。届出は必要ですか?

ピカ線や雑線、被覆線など、銅を主として含む金属くずの買受けを行っている場合は、特定金属くず買受業の対象となる可能性があります。

実際に届出が必要となるかは営業形態や取扱内容によって異なるため、個別に確認することをおすすめします。

Q. スクラップヤード事業者も対象になりますか?

銅スクラップ等の買受けを行っているスクラップヤード事業者は対象となる可能性があります。

特に持込み買取を行っている事業者は、本人確認や取引記録の作成・保存などの対応が必要になる場合があります。

Q. 特定金属類取扱業の届出をしていれば、特定金属くず買受業の届出は不要ですか?

必ずしも不要にはなりません。

特定金属くず買受業は国の法律に基づく制度であり、一部都道府県の特定金属類取扱業や金属くず商に関する制度とは別の制度です。

そのため、事業内容によっては双方の制度への対応が必要となる場合があります。

Q. 本人確認記録や取引記録は紙で保存してもよいですか

可能です。

法令上、文書による保存のほか、電磁的記録による保存も認められています。

警察庁の説明資料でも、様式は定められておらず、紙の簿冊でも対応可能とされています。


まとめ

令和8年6月1日から、特定金属くず買受業に関する新たな制度がスタートしました。

特にスクラップヤード事業者や金属スクラップ事業者にとっては、届出だけでなく、本人確認や記録保存などの実務対応も重要になります。

また、都道府県によっては金属スクラップ取引に関する条例が定められている場合もあり、特定金属くず買受業とあわせて対応が必要となるケースもあります。

制度開始直後だからこそ、自社が対象となるのか、どのような対応が必要なのかを早めに確認しておくことをおすすめします。

当事務所では、スクラップヤード事業者様向けの各種法令対応や届出に関するご相談も承っております。

「自社が届出対象になるか分からない」
「条例との関係を確認したい」

といった場合は、お気軽にご相談ください。


【参考資料】

・盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律

・盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律施行規則

・警察庁「特定金属くず買受業に係る措置の概要」

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